明日のプラニング 佐藤尚之(さとなお)著

明日のプラニング 佐藤尚之(さとなお)著
この記事の筆者:早川朋孝
明日のプラニング 佐藤尚之(さとなお)著

※さとなお氏のFBで紹介されたコメントはページ下部のまとめにあります

誰もWebサイトを見てくれない。誰も広告を見てくれない。誰もうちの商品を覚えてくれない。誰も話すら聞いてくれない。昨今、多くの企業人がこんな風に悩んでいるに違いない。

ウェブサイトの検索順位は下がる一方で、もうSEOは通用しない。莫大な広告費をかけたキャンペーンがこけた。SNSでバズって喜んたのも束の間、皆すぐに忘れちゃう。流行りのFB広告は誰も「いいね」してくれなかった。

こんな状況にどうすればいいかを教えてくれるのが佐藤尚之(さとなお)さんの「明日のプラニング」だ。本書は以下のような7つの構成をとる。

  1. 砂一時代&すぐ忘れられる
  2. 砂一以前の人もいる
  3. 友人という最強メディア
  4. プラニングを分ける&ファンベース
  5. どう砂一時代の層に伝えるか
  6. オーガニックこそ最強だから、それを引き出そう
  7. 総復習

砂一時代&すぐ忘れられる

まず圧倒的な絶望が最初にある。「砂一時代」とは世界中の砂浜の砂粒を全部集めたほどの情報が 世界中に溢れている時代に、あなたの伝えたい情報はそのうちの一粒でしかないですよ、という意味。そして奇跡が起きて気づいてもらってもすぐに忘れられてしまう時代だとデータと共に説明する。

この砂一時代に生きる人にはテレビCMは通じず。ネット広告も通じない。彼らは溢れる情報、広告に嫌気がさしており意図的に余計な冗談を遮断している人々。都会でスマホを使っているような層がこれに該当する。これは確かにつらい状況だ。まったくもってつらすぎる時代のように思える。

砂一以前の人もいる

一方で、情報洪水とは無関係に生きている人もいる。スマホは使わず、googleで検索もしない人々もそれなりの数がいると説明する。個人的にマイルドヤンキーについて説明するくだりはけっこう面白い。それはさておき、年配の人、マイルドヤンキーのような層は未だにテレビCMでも通じる。そういう層がいる以上、都心のスマホユーザーとは伝え方が変わってくる。要は伝える相手をきっちり見極めようという著者の言外のメッセージだ。

この最初の2つの章で現在の情報氾濫の時代の状況を説明してくれる導入のような章。本書の対象となるような感度の高い読者には次の3章からの内容が役立つだろう。

友人という最強メディア

人間は余計な情報はスルーする。処理しきれないからだ。都会のスマホを使う層は、その際、全ての情報を遮断するのではなく、あるフィルターを通して情報を遮断する。そのフィルターが友人である。誰でも一度くらいは覚えがあることだろう。友人や家族など身近な親しい人の言うことを思いがけず聞いてしまったという経験が。

特にスマホでSNSをやっている人なら、友人の営利目的でないシェア情報を反射的にタップしたことがあるはずだ。そういう情報は伝わるのだ。テレビCMとかうざいバナーと違って無視されない。だから情報を伝えたないのなら、伝えたい人の友人、家族、知人を介しての間接的アプローチが有効だと説明してくれる。

プラニングを分ける&ファンベース

この章の要旨は次の2つ。

  • 都会のスマホユーザーとテレビCMが通じる層では伝え方を分けること
  • 既存顧客をだいじにせよ

既存顧客を大事にする理由は、新規顧客を獲得しようにもそもそも広告は見られないため獲得なんかできないのだから、すでに自社のファンである人を大事にしよう。そうすれば喜んだくれた彼らがその情報を周りに広げてくれる、という考え方。すごく賛成します、この考え。というか、もはやこういう伝え方しか無い気がする。

まとめ

のこり2章はさらに具体的な方法について説明してある。詳しくはじっさいに本を手に読んでみて欲しい。新書だが300ページ近いボリュームがある。内容も充実しお買い得。下手にコトラーとかドラッカーなどの難しいマーケティング本を読むより、本書を熟読するほうが効果があるかもしれない。内容は理解しやすいものなので2回も読めばマーケティング関係の人なら、実際に仕事の場で活用できると思う。「人を動かすな」のような古典と併せ読むと、どうやって伝えるか?をさらに具体的な行動に落とせるようになる。

そして熟読すれば分かるが、この本の姿勢自体がファンを獲得するという真摯な姿勢に貫かれている。というのも本書で紹介されている色々な本、例えばキャズム、グランズウェル、ソーシャルシフト、グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶなど、本書を読むとそれらを読もうという気になる。それは著者の心からの推薦の書であることが伝わってくるからだ。この一貫した姿勢こそ悩みおおきマーケティング人が学べば、大いに助けになるだろう。

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